コンサルティング事例
いろいろなコンサルティングの提案をさせていただいた事例です。
ご高齢のN様がご所有されていた6世帯のアパート(昭和57年築)は、4部屋が長年空室の状態でした。近くの不動産会社に管理や募集を任せていたのですが、「リフォーム工事の提案ばかりで募集を一生懸命やってくれない」と、今後のアパート経営と将来の相続についてご相談をいただきました。
相続診断士と一緒にN様ご家族とお話合いを重ねた結果、修繕費や維持費が高くなり、コストパフォーマンスが低下しているアパートは売却し、資産を組み替えることで皆さんの意見が一致いたしました。
居住中のアパートを売却する方法は、大きく2つの方法に分かれます。
1. 収益物件として賃借人付の現状のまま売却をする
2. 売地として売却をする(立退き交渉が必要)
1の売却方法では、現状の稼働率が悪く(コストパフォーマンス低下)、築年数が古い為、N様のご期待に応えられる売価が期待できません。
2は、賃借人に立ち退いていただかなければ、買主の土地利用が制限されてしまう為、賃借人との立ち退き交渉が必須となります。
打合せの結果、流通性も高くなる為、賃借人へ退去交渉をして売地として売却することといたしました。
まずは、N様と賃借人との関係についてお聞きしました。
現管理会社の修繕対応等が悪く、賃借人からオーナーN様へ直接苦情の連絡入ったことが過去にあったようですが、N様と賃借人の方々は良好な関係とのことでした。
賃借人との立ち退きの交渉をスタートすることといたしました。
但し、不動産会社は非弁行為となる為、立ち退き交渉はできません。その為、立ち退き交渉についてはN様の長女であるI様に全ての窓口となっていただき、後述のスケジュールで進めることといたしました。
尚、管理会社を弊社へ変更して立ち退きが完了するまでの間、設備の不具合などの対応をお引き受けいたしました。
立ち退きの正当事由
A:建物の築年数が古く耐震基準を満たしておらず、倒壊の危険がある
B:オーナーが住む住居をそこに建てる
C:相当の立ち退き料を提示する
今回は、Aの理由からアパート経営が成り立たなくなった為、Cの立ち退き料を提示して賃借人にご理解をいただけるよう交渉を進めることといたしました。
賃貸借契約の解約申し入れから始まります。解約予告日6カ月前(賃貸借契約記載)に書面による通知を行うことが大切です。今回はI様にそれぞれの賃借人へ訪問していただき、その際「立ち退きのお願い」を書面でお渡しすることにいたしました。
いきなり内容証明郵便で解約の申し入れをすると、相手側の感情を害する可能性もありますので、よく検討する必要があります。また、立ち退き交渉は非常に労力を使いますので、入居者のためにも、時間に余裕を持って進めるほうがスムーズに事が運ぶ可能性も高く、オーナー自身の余力のあるうちに早めに計画することが肝心です。
1. 解約の申し入れ ※「立ち退きのお願い」を書面にする
まず立ち退きをしてもらうことを入居者に確実に伝えなければなりません。また、解約による立ち退きは、原則として入居者(契約者)の合意がなければ行うことができませんので、立ち退きを入居者にお願いする形になります。
I様には、訪問時賃借人が不在だった場合も想定して置手紙バージョンも用意しておき訪問していただきました。尚、手紙の内容は、訪問した趣旨を記載し、一度お会いして説明をさせていただきたい旨の内容といたしました。
円満に立ち退き交渉をするための「立ち退きのお願い」は以下の通りです。
●立ち退きをお願いすることとなった経緯の説明
●今まで利用してくれた入居者への感謝
●立ち退きに対するお詫び
●立ち退きにあたっての補償内容
2. 話し合い・和解
立ち退きを入居者に書面で周知したら、入居者と立ち退き料の交渉を行います。立ち退き料の相場は家賃の6ヶ月~10ヶ月程度と言われています。交渉の上限を12ヶ月分と決めておき、予算を多めに設定しておくと安心です。但し、立ち退き料の相場は、あくまでも「相場」です。立ち退き料は、入居者との交渉や立退きを求める理由、入居者の事情によって大きく変動致します。今回は、2世帯の賃借人とも立退き料を家賃の6ヶ月としました。
3. [立ち退き合意の覚書]の取り交わし
賃借人が入居先をお探しする際、約束だけでは不安になる為、作成した『覚書』に署名押印後お互いに保有しあうことにしました。立ち退き料の支払い時期について、お引越し先の賃貸契約締結時に半金、お引渡し完了後に残り半金等、賃借人のお金事情についても出来るだけ合わせようオーナー様にご協力いただきました。
4. 転居先の選定
交渉が進み立ち退きを了承してもらったら、引越し先を探すことになります。
残存の入居期間中に下水管が詰り、汚水があふれ出る不具合が発生しました。原因は過去に修理した業者の処置が悪く、破損した汚水桝の一部を取り除けず、そのままの状態で長年放置させていたことが原因でした。
急ぎ他の水道会社へ緊急修理を依頼し、その日の夜8時頃までかかり修理完了 (修理の窓口をこちらへ変更していたため、いつもお願いしている水道業者の方に当日中に対応していただくことができました)。また、I様にご不便をお掛けした賃借人へ対応をしていただき、その後2世帯とも無事退去の運びとなりました。
●立ち退き交渉は冷静に行いましょう。
●ご理解を頂きながら、毅然とした態度でい臨みましょう。
●立ち退き料は多めに見積もって予算を組みましょう。 (入居者の12ヶ月分の家賃とその他諸々)
●立ち退き交渉の記録は必ず残しておきましょう。 (裁判になった場合も証拠として提示することができ、トラブルの経緯も説明しやすくなりますので、交渉記録は残しましょう。)
●立ち退き交渉で揉めたら弁護士などに相談しましょう。
1人暮らしをされていたお母様が亡くなられ、空家となったご実家を相続されたM様と妹様のお二人ですが、ともにご実家に住むお考えは無く、ご売却についてご相談をいただきました。
・昭和43年築店舗併用住宅、但し実際は全て居住用として使用されていた
・建物の使用状況は悪く、一部雨漏りが発生していた
・連棟式を切り離した建物で、3方向に隣接する建物との隙間が無かった
・変形地、敷地の間口は約3.5mと狭かった
・敷地内に使用可能な井戸があった
「物件調査結果」「査定金額の検証」「優遇税制の検証」の実施をいたしました。M様の場合、その年から施行された、空家特例(3,000万控除)を適用できる可能性があり、税理士にても検証をしていただき、「要件を満たす売り方」をすればM様の手残りが400万円程変わる事が判明しました。そこで、空家特例(3,000万円控除)の「空き家を解体してから売却する」方法で販売活動をスタートいたしました。
■査定金額算出の為の市場調査
■売却査定価格の検証
■売却スケジュール・売出計画の打合せ
■販売活動のスタート
販売スタート後に法人から購入打診がございましたが、諸条件が合わなかった為、隣接地へ「隣地売却」のお声がけをM様へご提案いたしました。そして、M様と一緒に「隣地売却」のお声がけをしたところ、なんと隣接している3軒から購入に対して前向きなお話をいただきましたが、生前一人暮らしをされていたお母様を気にかけて、ときどきM様へお電話くださった隣家の方と契約することにいたしました。
販売開始から申告までの流れ
物件調査
優遇税制などの検証
売却査定価格の検証
売却スケジュール・売出計画の打合せ販売活動のスタート
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店舗用地として法人から購入の打診をいただくが条件が厳しい
隣接地の方々へ、M様と一緒に売却する旨のお声がけを実施
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隣接地の方から購入の申込みをいただき、契約条件等のお打合せ
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売買契約の締結
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建物解体
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建物滅失登記
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土地の測量
※建物に隙間が無かった為、解体後の測量となりました。
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市区町村長へ被相続人居住用家屋等確認書申請
※解体後の土地の写真等が必要です
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お引渡し決済(売買代金受領・引渡)
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税務申告
売却後のお手元に残る額を多くする。そして売主様・買主様にとって円満な契約を目指してお手伝いをさせていただきました。また、不動産会社のなかには良かれと思い解体の負担をかけないようにと「現況引渡し」を一方的に進めてしまうことで、税金への視点を見落としてしまい、結果的に売主側が優遇税制を受けられずに経済的損失を被ってしまう場合がございます。売却される物件や時期・利用状況などによって受けられる優遇制性が分かれますので、必ず査定の時にお調べしてご報告させていただいております。
某大手不動産会社から売りに出ていた土地(古家付)をご購入いただきました。ご契約時は土地を現況有姿とし、引き渡し後にK様の費用負担で古家を取り壊さなければならない契約内容でした。
■契約後~引渡しの期間中に施行された一部改正の適用
2019年4月の一部改正により、契約途中で売主様が空家特例(3,000万控除)の優遇税制が受けられるようになりました。その為、ご契約時の引渡し条件を現況有姿では無く、売主の費用負担で建物解体後、更地にして土地を引渡したいとの申し出がございました。
売主様側の某大手不動産会社(担当者)と打ち合わせ、売主様のお手元に残る額を最大にするため、売主の「空き家を解体してから売却する」方法に変更することにいたしました。
その為、買主様にお引渡しを1ヶ月ほど延期していただくことで、当初予定されていた解体費用(約150万円)を負担すること無くその分を建築に充当できるため、大変喜んでいただく結果となりました。
売却額よりもお手元に残る額、そして売主様・買主様にとって、結果とても円満な契約となり、お引渡し決済時に皆さんが顔を合わされた際には、「良かったですね~」とお互いが言い合えるとても和やかなお取引となりました。
優遇税制の条件等が厳しくなったり、緩和されることがございますのでご注意ください。
はじめて不動産をご購入されたA様ご家族、築27年の中古マンションをご購入いただき、住宅ローンの事前審査から住宅ローン控除の適応を受けるための耐震基準適合証明書の取得、そして申告のご案内までのお手伝いをさせていただきました。
はじめて経験される場合、全てがわからない事ばかりなのが当然です。その都度何度も諸手続きについてご説明させていただきましたが、無事A様が申告を終えられた際、「田中さんが言っていた税金200万円が戻ってくるというのはこの事だったんですね」と、奥様にもやっとご理解をいただくことが出来ました。
お客様の中には、控除が受けられると分かった瞬間に安心をしてしまい手続きを忘れてしまう方がいらっしゃいます。売買契約をいただいて申告手続きが終わるまでがゴールだと思っておりますので、申告時期には必ず申告手続きがお済みになられているか、確認のご連絡をさせていただいております。
住宅ローン減税を受けるための摘用条件として、マンションなどの耐火建築物の場合、建築後経過年数が25年となっておりますが、耐震基準適合証明書を取得して申告をすることで住宅ローン控除(最大控除額200万円~最高400万円)を受けられる場合があります。
しかも、適合証明書を発行していただく調査会社への申請手続きは、とても簡単で費用も3万円~5万円位です。不動産会社のなかには税金(優遇税制)への視点が無い業者もあるため、控除などの提案を受けられないまま引き渡しを受けてしまい、住宅ローン控除や登記料の減税が受けられず、結果的にお客様が経済的損失を被ってしまうということがございます。
※耐震基準適合証明書は、所有権移転前の所有者名で発行していただく証明書となります。
尚、物件の販売図面にも記載されていない事が多い為、必ず一度お調べする事をおすすめいたします。
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